本日は自分の自習も兼ねて補聴器調整を振り返ってみたいと思います。
それでは、一緒にみていきましょう。

70代男性
お悩み1:聞き取りが困難になってきた。
お悩み2:家族からテレビのボリュームが大きいと言われる。
お悩み3:とにかく話を聞いて欲しい。

三つ目に「話を聞いて欲しい」とおっしゃられましたが、思うに1番のご要望だったように聞こえました。とにかく話を聞いて差し上げようと考え相談が始まりました。

はじめに聴力です。とある耳鼻科医院での検査結果をお持ちいただきました。
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平均聴力レベルで50dB前後。確かに日常生活でも不便があるレベルかと察します。
屋内での一対一の会話でしたら周りが静かで、会話に集中していれば問題なさそうです。
ご本人もそのようにおっしゃられていました。
しかし、会話のキャッチボールを円滑にしたり、
固有名詞や専門用語が含まれるようなコミュニケーションは難しそうです。
(ご本人が発話されている間は、こちらの声かけには反応がありませんでした)

次に語音明瞭度をみてみましょう。これは点数のみのご紹介です。
右耳:最良明瞭度 90dB:70%、80dB:35%
左耳:最良明瞭度         80dB:85%、70dB:80%

どうやら左耳の方が補聴効果を得やすそうな印象です。
ご本人も諸事情により片耳の装用を希望されていますので
左耳に補聴器をフィッティングしていきます。

画像は初装用から約1ヶ月後、調整3回を終えた測定の結果です。
聴こえの改善がみられます。
本人の音の感じ方や好み慣れ具合、
また補聴器の性能によって結果は変わってきます。
この時点では、これ以上音量をあげると耳で響いてしまい不快感が強いとのことでした。
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「S」:補聴器を付けない時の聴こえ
「A」:左耳に補聴器をつけた時の聴こえ

つづきまして、肝心の言葉の聞き取りです。
会話音圧レベルで30%の改善と最良明瞭度獲得できています。
欲を言えば50dB(小さい声程度)での点数も上げていきたいところです。

補聴器は入力音圧ごとに音の増幅量の調整ができます。
無駄に大きくすると煩いだけ、無意味に抑えるともったいないので、しっかり評価を繰り返しながら技能者と一緒に調整を進めていきましょう。

今回は、まだ改善の余地を残しているという目標をもって、ひと段落です。
さらに受け入れられる音量が増えてきたら調整値をあげていく計画です。
楽しみですね。

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「S」:補聴器を付けない時の点数
「A」:左耳に補聴器をつけた時の点数