本日は補聴器の調整について紹介いたします。
補聴器や集音器で音を大きくしさえすれば良く聞こえる様になれば、それに越したことはありませんが、
音の周波数(高さ低さ)ごとに耳の感度が異なるので、補聴器には調整が必要です。
聴力の弱いところを多めに、良好なところを程々にといった感じです。
調整をしない補聴器では、必要な音量が得られなかったり、多過ぎたりします。
これは、補聴器の不快感の原因になります。

それでは、HSさんの聴力を参考に、補聴器を購入するさいの調整工程の一つを紹介します。
一緒に見ていきましょう。
(下の図では高音の聴力が低下しているようだなあと見てください)
aud_R


今回用意した補聴器はこちら。
CIC型の見えない小さな補聴器です。
本当小さい。電池も小さいので交換は頻回になりますが、
私生活はもちろん、職場、接客業、汗をかくようなハードなスポーツシーンでも活躍です。
cici


こちらは補聴器の調整画面。聴力データから自動計算された調整から始まります。
(なんとなく右側(高い音)を多く増幅しているなあと見てください。)

autofit


補聴器を本業としていない販売店や販売員から購入された場合、
往々にしてここまでの調整となる場合が多いようです。

この後は、要望を伝えて、その通りやってもらい帰宅して、後日また要望をつたえて、、、の繰り返しをしている人々が多いのではと想像します。

「煩い」→音量下げてもらった。
「低い音が聞こえない」→低い音の音量上げてもらった。
「高い音が響く」→高い音の音量下げてもらった。
「言葉がわからない」→音量を上げてもらった。

自分の言う通りにしてもらったので、とりあえず納得して帰ります。
しかし、問題は解決しないので、また店に通うことになります。

「人は自分の欲しいものについては非常に詳しいが、
自分に必要なものについては、理解していないことが多い」


私は補聴器販売に携わるものとして、このことを気に留めながら仕事をしています。
お客様がお金を支払って自分のものにしているのだから、自分の補聴器をどうするかはお客様が決める。
確かにその通りだし、その権利がお客様にはあります。
ただ、どうしてもそれだけでは、問題の解決は難しいのです。

良く話し合って、理解しあって共に補聴器を作り上げることが大切だと思っています。
次回、技能者からの提案を踏まえた調整をみていきましょう。