耳の形、性質は個性豊か本当に人それぞれ。
大きさ、細さ、太さ、固さ、柔らかさ、乾燥、湿気。
それぞれの性質の組み合わせによってお勧めできる補聴器のスタイルも変わってきます。

本日ご紹介のケース
70代後半男性、仕事でのコミュニケーションを改善したい。
どうしてもオーダーメードの耳穴型が欲しい。

耳穴は細く、湿り気を帯びた耳垢。この場合、耳穴型をお勧めすることは多く無いです。

聴力測定して、お仕事を続けていくには、必ず補聴器は必要な印象でした。
仕事の為という強目のモチベーションがあるので、装着の困難さはすぐに乗り越えられそうです。
耳穴型は補聴器の音量音質調整と補聴効果調整の精度が良いです。
型取りしているので装着の際、必ず所定の位置に補聴器のスピーカーが収まります。
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効果測定の結果は上図のとおり。いい感じです。

課題は音の出口が耳垢で塞がらないようにすること。
耳穴が細く曲がっていて、湿り気がある場合、非常に詰まりやすい。

詰まったらフィルターを交換するのですが、フィルターも安くは無いし肝心な時に目詰まりしてしまっては困ってしまいます。
そこで通常とる対応策がベルリング加工。フィルター部を奥に少し引っ込めると目詰まりしにくくなります。


今回、対策がこれだけでは不十分でした。耳穴が細く、先端部に十分なスペースをとれず若干フィルターが浮いてしまいやすい。しっかり収まっていなくて耳の中で外れてしまっては大ごとです。
とくにユーザー様ご自身で交換された場合が心配です。
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ギリギリですね。でもよく見ると穴の周り0.5mm ぐるりと拡張できそです。
やってみましょう。
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このほそいドリルで加工します。丁寧に顕微鏡を覗きながら慎重に外周を拡張します。
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できました。ピッタリかんかん。これならご自身でフィルター交換しても安心でしょう。

専門店ならではの仕事ができた時、やりがいを感じます。
希望のスタイルの補聴器をつけながら、まだまだ現役続行のお手伝いができて光栄です。