本日のご相談者様は、少々個性的。

90歳女性。聴力は下図のとおり。かなり聞こえにくいはずですが、
母娘でずっと
「困っていないから補聴器の話はしないで」VS「お願いだからつけて」
の繰り返しだったそうです。

たしかに、大声で話し続けなければならないし、家庭のテレビは大音量でしょう。
定義に当てはめるなら聴覚障害一歩手前でしょう。

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ご持参された図は、医療機関での検査結果、鼓膜の動きを表したものです。
補聴器技能者としての視点では、補聴効果を得やすいか推測できます。
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先日、いつもの病院に定期的な診察行かれたそうです。
たまたま、いつもの先生がお休みで別の医師が診てくれたと。
その先生が何事かおっしゃられた後、パソコンの画面をこちらに向けてくれました。
何事かと身構えて、注目していたら大きく
「補聴器を作ってください」と書かれました。
ご相談者様は、その日のうちに娘様に「補聴器屋」に連れて行って欲しいと
当店にいらっしゃいました。

娘様曰く、その先生、推しの韓流スターに似ていたとかいないとか。
(おそらく医師からの推薦が大きな動機づけになった思われます)

提案した補聴器は、充電式の小型な耳掛け型補聴器。
オーダーメードの耳栓で装着しやすいものに仕上げました。
もとより、モチベーションが非常に高かったので
物理的なフィッティングも音響的なフィッティングもスムースに進み、
開始1ヶ月で装用効果は以下の通り。

生活は見違えるほど改善したことでしょう。
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通常、90歳で初めての補聴器は、さすがに難易度が高いのですが、
1ヶ月で補聴の効果30dBHLを得られたことは珍しかったので
私としてもやり甲斐のある調整となりました。

技能者としては、もう一息改善の余地があるように思えるので
私としても今後が楽しみなケースとなりました。

そのうち、私の見た目の印象も伺ってみたいと思います。
(十分、良く聴こえるようになったあとで)